2026 HR Trend連載の第5回である。第4回が採用自動化よりスキル基準が先だと述べたなら、今回はその次の問いを扱う。必要なスキルを外部から十分に採用することが難しいなら、HRDは何を変えるべきなのか。
答えは教育コースをより多く開くことではない。2026年のアップスキリングは研修カレンダーではなく、業務の流れの問題である。社員が新しい仕事を担当する瞬間、目標が変わる瞬間、顧客要求が変わる瞬間に、必要なスキルを確認し練習できる仕組みが必要だ。
アップスキリングは研修日程ではなく人材確保戦略になる
SHRM 2026 Talent Trendsの要約は、2,000人以上のHR専門家回答者サンプルをもとに、採用難、定着、スキル不足を併せて扱っている。公開要約によれば、HR専門家の約70%は正社員採用で困難を抱え、41%は充足が難しい役割のために既存社員を訓練している。
この数字はHRDの役割変化を示している。アップスキリングは、もはや教育部門による年間コース運営だけを意味しない。外部採用で埋めることが難しい役割を内部でどう育てるかという人材確保戦略になる。だからこそ教育計画は、採用計画、内部異動、パフォーマンスマネジメントと切り離すことができない。
リアルタイム学習は業務変化が発生する地点から始まる
同じTalent Trendsの要約は、HR専門家の42%が直近12か月間に正社員の定着困難を経験したと説明している。人を採用することも定着させることも難しいなら、組織は社員が現在の業務から次の役割へ移動できる経路をより精緻に作らなければならない。
リアルタイム・アップスキリングは、全社員に毎日学習プラットフォームへログインさせることではない。業務が変わる地点で必要なスキルを示すことである。新規プロジェクトへの投入、職務転換、昇進候補者の育成、AIツール導入、顧客対応方法の変化といった瞬間が学習の出発点になる。
HRDはコース設計者から業務フロー設計者へ移行すべきだ
SHRM 2026 HR Trendsは、2026年のAI活用をコスト削減、生産性向上、より良い人材意思決定と結びつけて説明している。また、2026 Talent Trendsの2,000人以上のHR専門家回答者サンプルは、採用難とスキル不足を同時に示している。この観点をHRDに適用すると、AIは教育コンテンツ推薦ツールにとどまらない。どの社員にどのスキルが不足しているのか、どの業務経験が必要なのか、どのフィードバックが繰り返されているのかを確認するシグナルになり得る。
したがってHRDは、コース設計者から業務フロー設計者へ移行すべきである。講義名、教育時間、満足度だけを管理する方式では、スキル不足を解決することは難しい。役割別の中核スキル、業務課題、マネジャーのフィードバック、同僚コーチング、内部プロジェクト配置を一つの学習経路として結びつける必要がある。
パフォーマンスマネジメントとアップスキリングを分離すれば、学習は実行につながらない
SHRMの2026年トレンド解説は、AIコーチングとPeople Analyticsが年次評価中心の流れを変え得ることを示唆している。第3回で見たように、AIコーチング時代のパフォーマンスマネジメントは、目標、フィードバック、開発をより頻繁につなぐ方向へ移行する。アップスキリングもこの流れの中にあるべきだ。教育受講記録は残っても、成果目標とつながらなければ、学習は実行につながらない。
マネジャーは、社員にどのスキルが必要かを最も近い場所で確認する。HRDはこのシグナルを教育コースにだけ翻訳するのではなく、業務課題とフィードバックループにつなげなければならない。例えばデータ分析能力が不足しているなら、オンライン講座の受講だけで終わらせず、実際のレポート作成、レビュー、改善課題をあわせて設計すべきである。
韓国企業は教育受講率よりスキル適用指標を先に見るべきだ
韓国企業のHRDは長い間、教育時間、受講率、満足度、法定教育遵守率を重要な管理指標としてきた。これらの指標は今も必要だが、2026年のスキル転換を説明するには不十分である。重要なのは、社員が学んだ内容を業務で使ったかどうかである。
まず役割別の中核スキルを定義しなければならない。次に、各スキルを業務で確認できる行動基準に変換する必要がある。そして教育後30日、60日、90日の間に、実際の業務成果物とマネジャーのフィードバックがどのように変わったかを見るべきだ。HRDの成果は教育会場の中ではなく、業務現場で確認されなければならない。
2026年のHRDの課題は、より多くの教育コンテンツを確保することではない。仕事の変化そのものが学習の出発点になるよう、組織の流れを設計することである。リアルタイム・アップスキリングは教育プログラムではなく、働き方の再設計である。
2026 HR Trend連載記事
アップスキリング編は、採用難の後に内部育成と業務フロー設計をつなげる。
- ハブ記事: 【2026 HR Trend ①】AIより先に変わるべきものはHRの運営方式である
- 前の記事: 【2026 HR Trend ④】採用自動化の前に変えるべきスキル基準
- 次の記事: 【2026 HR Trend ⑥】正社員中心HRの限界と混合型人材運営
- 全体リスト: 【2026 HR Trend ①】AIより先に変わるべきものはHRの運営方式である
HRトレンドシリーズをあわせて読む
この記事は2026 HRトレンドシリーズの一編です。AI導入、責任線、パフォーマンスマネジメント、採用、アップスキリング、混合型人材、Polywork、従業員体験をつなげて読むと、HR運営モデルの変化の流れをより立体的に見ることができます。
- ① AIより先に変わるべきものはHRの運営方式である
- ② AI導入率より重要なもの、HRのAI責任線設計
- ③ 年次評価の終わり、AIコーチング時代のパフォーマンスマネジメント再設計
- ④ 採用自動化の前に変えるべきスキル基準
- ⑤ リアルタイム・アップスキリング、HRDは業務の流れを設計すべきだ (現在の記事)
- ⑥ 正社員中心HRの限界と混合型人材運営
- ⑦ Polyworkと副業拡大、報酬・エンゲージメント戦略の再設計
- ⑧ バーンアウトと従業員体験、HRが書き直すべき心理的契約
参考資料
この記事はSHRMの2026 Talent Trends、2026 HR Trends、そして2026 State of the Workplaceをもとに作成した。Talent Trendsの2,000人以上のHR専門家回答者サンプル、State of the Workplaceの1,800人以上のHR専門家と2,000人以上の労働者データなど、公開要約で確認される調査範囲を基準とした。公開資料で確認できる数値と表現のみを本文の根拠として使用し、会員専用の詳細レポートの非公開内容は引用していない。

